ネジにはなぜ「プラス」「マイナス」など色々な種類があるのか
別個の部品を締結する為に、様々な物づくり分野で用いられるネジ。
皆さんもご存知の通り、このネジの頭部には「プラス」「マイナス」、更に言えば「六角」「星型」と様々な種類の溝が存在していますよね。
その為、機器を修理する際にドライバーは持っているけど、そのネジに対応するドライバーが無いから買わなきゃならない!なんて経験を持っている方も少なくないでしょう。
機器の大小によってネジのサイズが変わるのは納得なのですが、なぜ、ネジの頭部にある溝の形状まで変わる必要があるのでしょうか?
ネジ頭部の溝によって使用用途が異なるから
一見、ネジ頭部の溝が違う程度で何か変わるの?と考えてしまいがちですが、どうやら変わるみたいです…
「プラス」はこんな所に使用すると良い、「マイナス」はこんな所に使用すると良い、みたいな感じでネジの溝によってメリットがある為、それに合わせた使用用途も溝によって異なります。
その他の複雑な形をした溝を持つネジにも使用用途がしっかりと存在します。
では、一体、ネジの溝によってどのようなメリットがあり、どのような場所で使用されているのでしょうか?
プラスネジのメリットと使用用途
プラスドライバーを使用する一般的に「プラスネジ」と呼ばれる物には、主に「十字穴」「フィリップス型」といった種類が存在しています。
ネジ頭部の溝とドライバーの先端を合わせた際、自然とドライバーの回転軸からネジへまっすぐ力を加える事ができる為、作業性に優れています。
簡単に言えば、目を瞑ってでもドライバーとネジの溝さえ合えば、容易に締める事が出来るという事です。
また、プラスネジの溝とドライバーの先端がフィットしやすく滑り難い為、高速回転するネジ締め機でも使用する事が可能。
以上のように、プラスネジは総合的に優れたポイントが多々あり、ほとんどの家具・機器にはプラスネジが使用されています。
しかし、プラスネジは溝に水が詰まってネジが錆びてしまったり、ゴミが詰まるとドライバーの先端が入らなくなってしまう場合があるといったデメリットも存在しています。
マイナスネジのメリットと使用用途
一般的に「マイナスネジ」と呼ばれている物は、正式には「すりわり」と呼びます。
マイナスネジは「水やゴミが詰まってしまう」というプラスネジが持つ唯一の欠点をカバーしているネジです。
マイナスネジの場合は、水がかかっても溝にそって外へ流れていきますし、ゴミが詰まっても爪楊枝やドライバーで溝をなぞれば容易に外へ取り出す事ができます。
その為、普段人の手が届きにくい所や汚れやすい所によく使用されています。
例えば、人の出入りが多い電車のドアの足元部分はマイナスネジをよく見かけますし、水回りにもマイナスネジが利用されている場合が多い傾向にあります。
また、プラスネジはドライバーを真っすぐ立てなければ締める事ができませんが、マイナスネジはドライバーを若干斜めにしても絞められますし、硬貨などを用いて締める事も可能な為、ドライバーが入りにくい複雑な部分に利用されている事もあります。
例を挙げるのであれば、ミシンの針板を締結しているネジは基本マイナスネジです。
これは、ミシンの構造上、上部の部品が邪魔をしてプラスネジだとドライバーを縦にさす事ができず、針板部分のメンテナンスが難しいので、あえて小さな硬貨でも簡単に取り外せるようにしているんだとか…
しかし、マイナスネジは溝とドライバーの先端がずれやすく、作業効率はプラスドライバーい比べ低い為、一般的にはあまり使用されていません。
六角穴ネジのメリットと使用用途
六角穴ネジは溝に六角形の大きな溝があり、基本ドライバーではなく「六角レンチ」と呼ばれる工具を用いて締結を行うネジです。
溝と六角レンチの先端の接触面積が広い上、プラスドライバー同様、六角レンチの回転軸から真っすぐ力を加える事が可能です。
更に、六角穴ネジの溝は深く広い為、六角レンチの先端が外れてしまうという事がなく、テコの原理を利用して非常に強く締め付ける事に適しています。
締め付けが必要な安全性の求められる機械などに多く用いられているようです。
例えば自動車や電車、エレベーターなどを支える部品、宇宙航空機などの部品締結にも使用されています。
いじり止めネジのメリットと使用用途
いじり止めネジとは、ネジ頭部に六角星型の溝や二つの溝など様々な種類のものがあり、特殊な工具を用いらなければ回すのが困難なものを言います。
基本的に六角星型ネジ(トルクスネジ)と呼ばれるものが多く見受けられますが、中には右回ししかできない構造になったネジも存在しています。
悪戯防止ネジとも呼ばれており、その名の通り勝手にネジを外されては困る精密機器などに使用されています。
身近なものだとiPhoneやandroid、最近では車のナンバープレートにもいじり止めネジが使われているようです。
まとめ
一見ネジの能力とは関係無さそうなネジ頭部の溝ですが、プラスやマイナス、六角形や星形などによって、ネジの能力も異なるようです。
その為、「もう面倒くさいから全部同じ形の溝に統一しちゃおうぜ!」なんて事になってしまうと、様々な家具や機器の安全性が欠けてしまうという事になるようですね。
中には、人の命を支えてくれているネジも存在していますので、物づくりに関わっている人はしっかりと理解しておきましょう。
ちなみに、最近はホームセンターなどでいじり止めネジを外せるドライバーが販売されているようです。
車のナンバープレート盗難防止といったセキュリティのためにいじり止めネジを購入する場合は、最先端のものを選ぶのがよいでしょう。
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