キーボードの配列がアルファベット順じゃないのは何故?

歴史

パソコンを操作する上で必ず必要となるハードウェアの一つとして挙げられるのがキーボードですよね。

私たちが普段何気なく使用しているキーボードですが、このキーボードってよく見たら不思議な点がある事に気づいてしまいました。

それは、キーボードの配列がアルファベット順ではないという点です。

本来であれば、左上からA,B,Cと並べられるのが普通かと思いますが、一般的なキーボードは右上からQ,W,Eと不規則な配列になっています。一体なぜなのでしょうか?

という事で今回は、キーボードの配列についてを調査し、その結果をまとめてみました。

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キーボードのアルファベット順じゃない理由について

一般的に販売されているキーボードは左上からQ,W,E,R,T,Yと並んでいる事から「QWERTY配列(クワーティはいれつ)」と呼ばれおり、日本に限らず、世界の大多数がこのQWERTY配列のキーボードを採用しています。

何等かの規則性がある訳でもないのに、キーボードの世界基準として君臨しているQWERTY配列…

この配列が誕生したきっかけは、パソコンが発明されるよりも数百年前、タイプライターでの印字が一般的であった1872年にまで遡ります。

QWERTY配列の歴史

普段パソコンを使用しているキーボードの原点は、鍵盤楽器の仕組みを応用して開発された機械式のタイプライターです。

知っている人も多いかと思いますが、タイプライターというのは文字盤を打つことで、その文字盤と連動している活字が予めセットされている紙に打ち付けられ、文字を印字する機械を指します。
(わかりずらいですね…簡単に言うと「あ」というボタンを押したら紙に「あ」という判子みたいなものが打ち付けられる機械だと思ってください。)

このタイプライターは、それに近い機械が1714年、ヘンリー・ミルによって開発され特許を取得しており、更に1892年にはウィリアム・オースチン・バードが「Typographer(タイポグラファー)」というタイプライター風の機会を開発し、特許を得ています。

これらのタイプライターに近いと言われている機械は、その後も幾つか開発し、多くの特許が取得されている記録があるそうですが、いずれも実用的ではなかったそうです。

そんな中、1867年に新聞編集者であったクリストファー・レイサム・ショールズは初めて利益や営利面で成功を収めたタイプライターを開発しました。

当時ショールズが開発したタイプライターはピアノ型であり、まだキーボードの配列はアルファベット順でしたが、1870年頃からショールズが開発を始めたボタン型タイプライターの試作品は既にアルファベット順ではなかったと言われています。(初期段階のキー配列は不明)

そして、1873年頃、ショールズは幾つものタイプライター試作機を考案し、現在では銃の製造業者として知られるレミントン・アームズ(当時はE・レミントン・アンド・サンズという社名)に製造を依頼。

レミントンは特許権を買い取り、1974年7月にショールズ・アンド・グリデン・タイプライター、またの名をRemington No.1を発売。なお、ここで初めて「タイプライター」という言葉が生まれました。

その後、Remington No.1のキー配列M,C,Xが変更されたタイプライター「レミントン・スタンダード・タイプライターNo.2」が1882年に発売され、ここで初めて現在も使われているキーボード配列「QWERT配列」が完成したのである。

なぜQWERTY配列になったのか

1874年、ショールズが考案したタイプライターによってQWERTY配列が誕生しており、QWERTY配列以外の配列も考案されていたと言われています。

しかし、キー配列に関する記録はほとんど残っておらず、なぜこのような配列になったのか明確にはなっていません。

ただ、QWERTY配列は突如として生まれた訳ではなく、ユーザーが使いやすいようにと何年もかけて各キーの位置が徐々に変化し、現在のQWERTY配列が完成したと考えられますので、なぜこの配列なのか?というより、なぜこのキーがここにあるのか?という疑問を一つずつ解明していく必要があります。

例えば、当時のタイプライターは「I」を数字の1としても使っていました。その為、キーボードに「1」は存在しません。そして、タイプライターの配列が考案されていた1871年頃、年号である「1871」を打ちやすくするため、「8」の近くに「I」が移動しました。

また、当時アメリカのモールス符号では「・・・ ・(トントントン トン)」が「Z」を意味していたが、「・・・(トントントン)」はSを意味し、「・(トン)」はEを意味していた為、「・・・ ・(トントントン トン)」がZなのかSEなのかの判断が難しかったのです。これを判断する為にはモールス符号の続きを受信する必要があったのです。
(簡単に説明すると「zipper」という英単語をモールス符号を受信する場合、最初は必ず「・・・ ・」となるのだが、この時点ではZかSEかは分からない。しかし、その後に続くipperを受信する事ができれば、最初のモールス符号が「Z」であるという事がわかる。)

このように、続く文字を聞いて初めてわかるモールス符号を素早く入力できるよう、「Z」「S」「E」は近くに並べられています。

1874年頃には、数字の「1(I)」と「0(O)」を隣り合わせにする為、「I」の隣に「O」が来ました。更に英語ではEとRが連続する英単語が頻繁に使われていた事から、「E」と「R」が隣り合わせになったとされています。

タイプライターのジャミング(アームが絡まってしまう事)を防止する目的でもキーの配置が考案されたと考えられており、上記で説明したキー配置の理由も踏まえ、様々なニーズに合わせられるよう改良した結果、現在のQWERTY配列が完成したと言えるでしょう。

まとめ

現在、一般的なキーボードに採用されている「QWERTY配列」の誕生は思った以上に歴史が深く、不規則な配列に見えながら、当時タイプライターを使用していた人達のニーズに応えられる配列となっていたようです。

現在はタイプライターが実用される事はほとんど無くなりましたが、それでもなお当時タイプライターで使われていた配列の名残が、現在のキーボードに残っているというのは、歴史を感じますね。

ちなみに、キーボードはアルファベット配列だけでなく、かなキー配列も不規則な並びとなっているが、これは1923年に山下芳太郎とパーナム・クース・スティックニーによって開発された「カナタイプライター」が起源となっています。

QWERTY配列と同様、ユーザのニーズに合わせてキー配列を改良し、現在の形になったとされています。例えば、よく使う文字を人差し指の近くに、あまり使わない文字を小指の近くにといったところでしょうか。

まぁ、今となってはかな入力はほとんど使わず、ローマ字入力が主流ですので、今回はサラッとだけ触れさせて頂きました。

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