メロンパンってメロンの味しないのに、なぜ「メロンパン」?

歴史

何等かの理由でパンが苦手という人を除けば、誰しもが一度は口にした事があるであろう「メロンパン」

パン屋さんでは勿論の事、コンビニやスーパー、学校給食にもメロンパンの姿が見られます。日本人にとって、馴染みのあるパンと言っても過言ではないでしょう。

そんなメロンパン、いや、メロンパン様にいちゃもんを付けるのもどかと思うのですが、正直言ってメロンの味しますか?

勿論、メロン味のメロンパンもあるでしょう。しかし、私が言っているのはスタンダードなメロンパンです。(あの亀の甲羅みたいなメロンパン)

何度食べても、メロンパンは「甘くて美味しいパン」であり、「メロンの味がするパン」ではありません。なのになぜ「メロンパン」というネーミングセンスなのでしょうか?

そこで今回は、なぜメロンの味がしないのに「メロンパン」なのか?その理由についてを調査し、その結果をまとめてみました。

「メロンパン」は本当にメロン味じゃないのか?

これまで私は、メロンパンを何十個、何百個と食べてきたかもしれませんが、メロンパンについての知識は無いも同然です。

もしかすると、私が単純に味音痴なだけで「メロンパンはメロン味」かもしれません。はたまた、メロンパンは元々メロン味だったなんて可能性もあります。

もしそうだとすると、この記事の結論が「メロンパンはメロン味だったのでメロンパンでしたー!私がただの味音痴でしたー!」というものとなり、ただの恥さらしになります。

それは避けたいので、本当にメロンパンはメロン味じゃないのか?を少しだけ調査してみました。

その結果、メロンパンはメロン味ではないという事が分かりました。
やったよ!私の味覚はただしかったんだ!

現在市販されている多くのメロンパンにメロンの味付けがされたものはほぼありません。「ほぼ」なので少なからずメロンの原料が加えられ、メロンの味がするメロンパンも存在します。

しかし、これは元々命名されていた「メロンパン」という名前に合わせただけの後付け加工であり、「メロン味だからメロンパンになった」という訳ではありません。詳しくは後述しますが、メロンパンの歴史をさかのぼってもメロン味だからメロンパンにしたという記録はないようです。

メロンの味しないのに「メロンパン」の理由

後述した通り、メロンパンは本当にメロン味ではないという事が分かりました。私の味覚が音痴だったという訳ではありません。

では、一体なぜメロン味じゃないパンが「メロンパン」という名前なのでしょうか?その理由について調査してみたところ、「これが命名の理由です!」とは断定する記録はありませんでした。

というのも、メロンパンが誕生したのは明治時代後期と歴史が意外に深く、「だれが発明したのか?」も定かにはなっていないのです。

ただ、いくつか「メロンパン」と名付けられた有力な説がありましたので、ここからはその説についてをいくつか紹介していきます。

メロンパンの見た目がメロンに似ているから

最も有力とされている説です。まぁ……でしょうね…とか言わないでください(T T)

メロンパンと言われていパッと頭にイメージされるであろう、あの円形で網目上の模様があるメロンパンが誕生したのは1930年代と言われています。

元々は網目上ではなく、日の出を模した日本の軍艦機「旭日旗」を参考に放射状の線が入っていた事から、当時のメロンパンは「サンライズ」と呼ばれていました。
このサンライズを考案したのが、神戸に本店を持つベーカリー「金生堂」であったからか、現在でも近畿地方の一部でメロンパンがサンライズ(店によっては「サンライス」)の名称で販売されているそうです。


旭日旗

しかしその後、放射状の線を入れるよりも、網目状の線の方が付けやすいという理由から、本来の「サンライズ」は姿を消し始めました。

網目模様のメロンパン

そして時は流れ大正時代。マスクメロンが日本に輸入され始め、日本国民たちの間で「メロンといえばマスクメロン」と連想されるようになりました。

網目状の模様が付いたサンライズは、網目状の模様があるマスクメロンと特徴が一致しています。そのせいか、サンライズを「メロンパン」という名前で販売し始めるベーカリーが増えだしたのです。

マスクメロン

こうなると、メロンパンとサンライズが混同し始めて紛らわしい。だったらどっちかに統一しようぜ!とし、各大手ベーカリーは時代の流れに沿って「サンライズ」を「メロンパン」として販売しはじめました。

その結果、「メロンパン」という名前が日本国民に浸透したとの事。

メロンパンの見た目が真桑瓜(マクワウリ)に似ているから

マクワウリとは、難しく話すとややこしくなるので、ざっくり簡単に説明に説明します。

「普通のメロンとは見た目が変わっているメロン」です。メロンの一種だと考えてもらって問題ありません。

真桑瓜(マクワウリ)

しかし、このマクワウリのどこがメロンパンに似ているのだろうか?そう思えるのは、私のメロンパンに対する知識がまだ甘いからだろう。

実はメロンパンには円形型の他に、ラグビーボール型のものも存在しています。人よっては、ラグビーボール型のメロンパンを「真のメロンパン」とし、円形のメロンパンを先述した「サンライズ」としているようです。

ラグビーボール型のメロンパン

ラグビーボール型のメロンパンが誕生したのは1960年代。洋食店などで使われる「ライス型」を用いて、このようなラグビーボール型のパンが出来上がりました。
一説によれば、神戸消費組合(現:コープこうべ)のパン職人さんがオムライス型をみて「これ使えるんじゃね?」と閃いき、このようなパンができたとかなんとか。

ライス型

この出来上がったパンの姿がマクワウリ(メロン)に似ていた事から、メロンパンと名付けたそうです。(職人がマクワウリを好物としていた為、なんて説もある)

ただ、現在ではメロンと言われればマスクメロンを連想してしまう人がほとんどの為、このラグビーボール型のメロンパンは、マクワウリというより、アーモンドです。

「メレンゲパン」が訛ってメロンパンになった

元はサンライズと呼ばれていたメロンパンは、パン生地にビスケット生地をコーティングして焼き上げた工法が特徴的でした。

これは今のメロンパンでも用いられている方法です。これにより「外はカリッ、中はフワッ」というメロンパン独特の食感が生み出されます。

で、このビスケット生地ですが、主な材料としてメレンゲ(卵白を泡立てたもの)が使用されます。

この事から、メロンパンは元々「メレンゲパン」と呼ばれており、それが訛って「メロンパン」になったのではないかという説です。

しかし、このビスケット生地(メレンゲ)が使われているのは「円形のメロンパン」であり、「ラグビーボール型のメロンパン」には使用されていません。(代わりに白あんが入ってるよ!)

その為、「ラグビーボール型のメロンパン」に対しては、この説だと筋が通りません。

「メロン型」を使っていたからメロンパンになった。

メロン型というのは、先述したライス型の一種です。

使い回しですが、これが「メロン型」です

現在においても、ラグビーボール型のメロンパンは、このメロン型を使って形が生成されています。

ただ、この型が元々「メロン型」と呼ばれていたか否かは不明です。「メロンパンを作る為の型だからメロン型」なんて言われていたりもします。

また、この型は「円形のメロンパン」では使用されていません。

その為、「円形のメロンパン」に対しては、この説だと筋が通りません。

まとめ

メロンパンには大きく分けて2つの種類が存在しました。それが「円形」と「ラグビーボール型」のメロンパンです。

今となっては「円形のメロンパン」が一般的なメロンパンとしての認識ですが、元々円形のメロンパンは「サンライズ」という名前のパンだったようです。

いずれも、最初から「メロン味であった」という訳ではありません。

様々な説はありましたが、「なぜメロン味じゃないのにメロンパン?」の疑問を紐解くのに重要なキーは、メロンパンの「見た目」にあるようですね。

諸説あるので何とも言えませんが、恐らく「メロンに見えるからメロンパン」なのでしょう。今回はこれを答えとしましょう。

さて、メロンパン買ってくるかなぁ。