炊飯器の「早炊き」と「普通炊き」には、どのような違いがあるのか?

生活

大抵の炊飯器には「早炊き機能」がついていますよね。
早炊き機能は、通常モードで炊飯した場合と比較して10~20分くらい早くごはんが炊けるので、早くご飯食べたい時とか便利です。

ただ、ふと気になったのが普通炊きと何が違うのか?という点です。
結構早炊き機能を使う割に、私は普通炊きと早炊きのごはんの質の差や、炊飯工程の違いを知りません。

ちょっと気になったので、今回は炊飯器の「早炊き」と「普通炊き」の違いを調べてまとめてみる事にしました。

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「吸水」と「蒸らし」の工程が短縮されていた

お米を美味しく炊く手順を分かりやすく歌にしてくれたものがあります。
「はじめちょろちょろ中ぱっぱ、ぶつぶついうころ火を引いて、ひと握りのワラ燃やし、赤子なくともふた取るな」

これはかまどでお米を炊いていた頃から伝わる歌ですが、現代の炊飯器は、この歌の工程を自動化したものに近いです。
わかりやすくまとめると下記のような感じです。

1.はじめちょろちょろ(吸水)
最初は弱火という意味です。
水の温度を上げて米に水を吸水させる工程になります。

2.中ぱっぱ(沸騰)
中頃は強火でという意味です。
水の温度をさらに上げて沸騰させ、お米の吸水を促進させます。
この工程によりお米に含まれる「デンプン」が水を吸水し、柔らかくなるアルファ化が進みます。

3.ぶつぶついうころ火を引いて(炊き上げ)
沸騰を持続させ、ぐつぐつ言い出した頃に火を引いてという意味です。

4.ひと握りのワラ燃やし、赤子なくともふた取るな(蒸らす)
追い炊きで余分な水分を飛ばし、後はふたを取るなという意味です。
余計な水分を飛ばして、米粒に含まれる水分量を均一にする「蒸らし」の工程ですね。

普通炊きの場合、この「吸水」→「沸騰」→「炊き上げ」→「蒸らす」の4つの工程を1時間近く行っているようです。
(良い炊飯器や、モードによってはもっと時間をかけて炊飯したりします)

一方、早炊きモードの場合、「吸水」と「蒸らす」の工程を短縮、または省くことで炊飯時間を20~25分に短くしています。

「普通炊き」と「早炊き」 お米の質や味の違いとは

お米を美味しく炊き上げる為に必要な工程をしっかり踏んでいる「普通炊き」に比べ、「早炊き」は幾つかの工程を短縮または省いて炊飯しています。
その為、当然ながら普通炊きと早炊きでは炊き上がったお米の質・味に差がでてきます。

では、普通炊きと早炊きとでは、お米の質や味にどのような違いがでてくるのでしょうか。

やや硬めのお米になる

炊飯する前のお米は、その中心部まで結晶化したデンプンが詰まっています。

このデンプンに吸水させる事で柔らかく消化しやすいお米に変化するのですが、早炊きの場合、最初の「吸水」の工程を短縮、または省いて加熱する為、どうしても普通炊きと比較して固めに炊き上がってしまうようです。

ちなみにですが、少し科学的に話すると、お米というのは元は結晶化したでんぷん(βでんぷん)で構造されており、炊き上げの前は固く、消化されずらい。(代わりに腐りにくくて保存しやすいらしい)

でんぷんは水を吸う事で膨張し、吸水の段階でおよそ1.2倍、炊き上げの工程でおよそ2.3倍まで膨らむそうです。
更に、温度が加わる事ででんぷんの分子は規則性を失い、糊状になり柔らかくなります。これを糊化(こか)と言い、糊化したでんぷんを「αでんぷん」と言います。

美味しいごはんには、この「糊化」が重要な要素となってくるのですが、早炊きの場合は糊化がお米内部まで十分に行われない為、普通炊きと比較して少々固めです。

水っぽいお米になる

炊き上げ後の「蒸らす」工程では、お米の余分な水分を飛ばし、釜内部の水分(蒸気)を均等に吸水させる事で、ふっくらとしたハリのあるお米を生みます。

早炊きでは、この「蒸らす」という工程が短縮または省かれている為、余分な水分がお米表面にのこり、少し水っぽいお米になります。
また、ふっくら感やハリも普通炊きと比べて弱いです。

確かに早炊きしたご飯は水っぽく、少しべちゃっとしたイメージがありますよね。

まとめ

炊飯器の早炊き機能は、普通炊きよりも炊き上がりが2倍ほど早いです。

しかしながら、美味しいお米を炊くために必要な「吸水」「蒸らす」の工程が短縮または省かれています。
その為、炊き上がりは普通炊きと比較して固く、水っぽく、ふっくら感やハリが少ないようですね。

とは言え、最近の炊飯器では機能が向上しており、早炊きでもちゃんとお米は美味しく炊けるようになっています。
正直、私はそこまで味に飢えている訳ではないので、普通炊きと早炊きで炊き上がるお米の味と質に大きな違いはないと思っています。(あくまで個人の乾燥です)

ちなみに、早炊きと普通炊きでは電気代に違いがあるのでは?と思ったのですが、あまり違いはないそうです。
炊飯器が元々そこまで電力を使っていない為です。また、これは機種にもよりますが、早炊きの為に急激に温度を上げるものもあるそうで、早炊きの方が若干電気代が高くなる場合もあるそうですよ。

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