世界で初めて上映された最古の映画タイトルは?

歴史

「スターウォーズ」、「シン・ゴジラ」、「君の名は。」と最近では歴史に名を残すような大ヒット映画が注目を集めています。

自称映画評論家である私も、注目を集めている映画を全て見させて頂いております。

そんな大ヒット映画を見ている最中、ふと「世界で初めて上映された映画ってどんなものなのだろう?」と疑問が浮かびました。

という事で、今回は世界で初めて上映された映画について調査し、その結果をまとめてみました。

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映画の始まりについて

商業利用を可能とした映写機を発明したのは、発明王の異名で知られる「トーマス・エジソン」であり、その事から「映画の父」と呼ばれています。

エジソンが発明した映写機は「キネトスコープ」と呼ばれる箱状のもので、発明された時期は1891年頃です。

キネトスコープは連続撮影された静止画が現像されたフィルムを箱の中で自動回転させ、動きや形を再現するという機械であり、この仕組みは現在の映写機と変わりありません。

しかし、スクリーンに動画を映し出す機能は無く、回転するフィルムを鑑賞するには箱(キネトスコープ)に取り付けられた拡大鏡をのぞき込む必要がありました。

その為、1度に1人しか鑑賞する事ができず、「覗いてみる」という点から当初は「peep show(ピープショー)」(peepは除くという意味)と呼ばれていたそうです。

「キネトスコープ」
Wikipediaより

1893年5月9日にはキネトスコープによる上映会を一般公開し、その際に上映された映画が「Blacksmith Scene(ブラックスミス シーン)」です。

直訳で「鍛冶屋の情景」であり、その内容は鍛冶屋が鉄を叩くだけの34秒程度の映画となっています。

1894年4月11日には、キネトスコープが10台程設置された世界初の映画館「キネトスコープ・パーラー」がニューヨークのブロードウェイに完成します。

もう一人の「映画の父」

スクリーンに動画を映し出す事を可能とした映写機を発明したのは「リュミエール兄弟」であり、現代の映画の原型を作り出した発明家とし、トーマス・エジソンと並んで「映画の父」と称されています。

リュミエール兄弟の発明した映写機を「シネマトグラフ」と呼び、発明された時期は1985年頃です。

シネマトグラフの仕組みはエジソンの発明したキネトスコープと変わりありませんが、それに幻灯機(プロジェクター)を追加した事で、スクリーンに動画を映す事が可能となりました。

その為、キネトスコープとは違い、1度に多くの人数が映画を鑑賞する事が可能です。

「シネマトグラフ」
Wikipediaより

また、シネマトグラフには映写機能だけではなく、撮影が可能なカメラ機能も兼ね備えている複合映写機となっています。

そのカメラ機能を使ってリュミエール兄弟は自分たちの営む工場の近辺を撮影し、その映像を1895年12月25日にパリの「サロン・ナンディアン)で有料公開します。

この有料公開された工場近辺を撮影した映像のタイトルを「工場の出口(La Sortie de l’usine Lumiere a Lyon)」と言い、一般的には、こちらが世界で初めて上映された映画とされているようです。

ちなみに、工場の出口は46秒程度の超短編映画で、労働者が向上から出てくるだけのシーンで構成された映画です。

シネマトグラフとキネトスコープの関係

リュミエール兄弟がシネマトグラフを発明したきっかけとなったものがキネトスコープと言われています。

というのも、シネマトグラフ発明はパリでキネトスコープを目の当たりにして衝撃を受けたリュミエール兄弟の父「アントワーヌ」がきっかけ。

キネトスコープは1度に1人しか鑑賞できない映写機であり、これを何とか大きなスクリーンに映し出して大勢の人が鑑賞できるようにできないものかとアントワーヌは、息子兄弟に動画の研究を勧め、解決策を模索したそうです。

その結果、キネトスコープの改良によってスクリーンに映像を映し出す事を成功した「シネマトグラフ」が完成したという事になります。

以上の事はあくまで一説なのですが、シネマトグラフの前身はキネトスコープであるという事は間違いないでしょう。

世界初の映画は「工場の出口」が有力

エジソンの発明したキネトスコープが初めて上映した映画「Blacksmith Scene(ブラックスミス シーン)」が実質世界初の映画と言えます。

しかし、スクリーンに映像が映し出され、それを大勢で鑑賞するというのが一般的な映画の形態です。

キネトスコープは拡大鏡を覗いて鑑賞するという形態の映画であった為、これで上映された映画が世界初であるといってもあまりピンときません。

一方、リュミエール兄弟の発明したシネマトグラフはキネトスコープに遅れをとったとは言え、スクリーンに映像を映し出すことで一度に大勢の人が鑑賞できる現在の映画の形態を世界で初めて可能としています。

その為、一般的な映画の形態を考えると、シネマトグラフで初めて上映された映画「工場の出口」が世界初の映画とする方が有力であると考えられるでしょう。

まとめ

世界で初めて公開された映画として有力なのは「工場の出口」なのですが、人によっては「Blacksmith Sceneだろ!」と考える方もいるでしょう。

映画と言われればやはりスクリーンに上映される映像を想像してしまう為、一般的に世界初の映画と呼ばれているのが「工場の出口」というのは無理もないかと思います。

しかし、Blacksmith Sceneも鑑賞方法の形態は違えど映画である事は間違いありません。

その為、「Blacksmith Sceneこそ世界初の映画!」と考えるのも間違いという訳ではないようですね。

ちなみに、日本で初めて上映された映画もキネトスコープによるものなのですが、その後「稲葉勝太郎」によって買い取られたシネマトグラフで上映された映画が日本初の映画と言われています。

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