寒いと風邪をひきやすくなるのはなぜ?

生物


寒い恰好をしていると「風邪ひくよ」なんてよく言われますよね。

今となっては「寒くなると風邪をひきやすい」というのは常識ですし、実際、寒い時期は風邪をひきやす気がします。
ただ、風邪ってウィルス感染によって引き起こされる症状ですよね?気温に関係なくウィルス感染すれば風邪をひくのではないでしょうか?

一体、風邪と寒さにはどのような関係性があるのか気になったので、今回は「なぜ寒いと風邪をひきやすくなるのか」を調べ、その結果をまとめてみました。

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寒さは風邪をひく原因ではなかった

風邪と診断される症状には、咳、喉の痛み、発熱などが挙げられますが、これらの症状が発症する原因の80~90%はウィルス感染が原因です。
その他の10~20%は細菌や微生物によるものでした。

例えば、咳や鼻水はウィルスを体外へ排出する反応、熱はウィルスを熱殺菌する為の反応といったように、風邪の症状は基本的に「ウィルス」等の体内に取り込まれた異物に対する生体防御反応でした。
要するに、風邪の直接的な原因になり得るのは「寒さ」ではなく、「ウィルスや細菌・微生物」という事です。

参考になる情報として「南極では風邪をひかない」というものがありました。
南極では極寒であるにも関わらず風邪はひかないらしいです。

理由は単純で、南極は気温が低すぎてウィルスが生息できる環境ではないからです。

その為、ウィルス感染する事はなく、南極隊に同行した医師ですら「南極では風邪をひかない」と語っていたそうです。

ではなぜ寒いと風邪をひきやすいと言われているのか

先述した通り、寒さは風邪の直接的な原因にはなり得ないようです。

しかしながら、一般的には「寒いと風邪をひきやすい」と言われていますよね。
寒さが風邪の直接的な原因ではないにせよ、そう言われているという事は何等かの間接的な理由が風邪を発症させていると考えられます。

では、一体どのような理由で「寒さ」が「風邪」を誘引させてしまっているのでしょうか。
調べてみたところ、いくつか寒さが風邪の原因となり得る情報を見つけたので、まとめていきます。

乾燥するから

空気は気温が高いと水蒸気を保持できる量が増えますが、気温が低いと保持できる量は減ります。
この空気が保持できる水蒸気の量を「飽和水蒸気量」なんていったりしますよね。

空気中に漂うウィルスは、空気中の水蒸気と共に地面に落下したりするものですが、空気中の水蒸気が少ない秋や冬の乾燥した季節は比較的ウィルスが空気中を漂いやすい環境になります。

簡単に例えるなら、湿気の高い部屋ではホコリがまいずらいが、乾燥した部屋ではホコリがまいやすいイメージですかね。

また、寒さは体内の異物を掻き出す作用をもつ鼻や喉の粘膜を乾燥させてしまう要因になる為、寒い時期はウィルスの攻撃を受けやすいようです。

この事から、ウィルスが漂いやすくなる乾燥した寒い時期はウィルス感染を引き起こす原因の1つとなり得るでしょう。

免疫力が低下するから

気温の低下は身体に様々な変化をもたらし、その変化が風邪をひきやすくする原因になる事があります。

例えば、人間は熱い環境下だと血管を拡張して血流を多くし、熱を体外に逃す働きをするそうです。
寒い場合は逆で、熱を体外に逃げないように血管を収縮して血流を減らします。

血流が減るという事は、血液によって運ばれる栄養素が行き渡りにくくなる要因になり得る為、結果として免疫力が低下します。
実際、10度の水に手首まで10分間付けた後、免疫の元となる抗体「イムノグロブリン」が低下したという研究結果が発表されていました。

この免疫力の低下が、風邪を引き起こす要因となります。

密集状態ができやすいから

風邪の時期になぜ風邪を引きやすくなるのか、という問いにアメリカ合衆国の「New York Times」は「寒い時期は人との距離が近くなる機会が多いから」といった旨の回答を出していました。

寒い時期になると、多くの人は夏と比較して、暖房が漏れない密閉された部屋やオフィスにこもる機会が多くなりますよね。
暖房が漏れない密閉された部屋という事は、ウィルスが蔓延しやすい部屋という事になります。

更には、室内で過ごす事によって人とより近い距離で過ごす時間が長くなる為、それに伴ってウィルスが感染してしまう可能性が高くなります。

まとめ

風邪の原因はウィルスや細菌・微生物によるものであって、寒さが直接的な原因になる訳ではありません。

ただし、あくまで「直接的な原因」になり得ないだけであって、秋や冬の寒い環境下はウィルス感染の要因が多く存在しています。
今回紹介したものだと、乾燥、免疫力低下、密集ですね。寒さが関連したウィルス感染の要因は他にもあるでしょう。

その為、寒いと風邪をひきやすいと言われているのは、間違ってはいないですし、子供の頃にほとんどの人が言われたであろう「寒い恰好したら風邪ひくよ!」というのも間違ってはいないみたいです。

とは言え、先述したとおり寒さは風邪の直接的な原因とはなり得ない為、寒い時期の風邪対策としては薄着して外を出歩かない事よりも、外から帰ったら手洗いうがいを行うといった予防策のほうが有効的です。

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