なぜ5円玉と50円玉だけ穴があいているの?

歴史

日本に流通している硬貨には1円、5円、10円、50円、100円、500円の6種類がありますよね。

この6種類のうち、なぜか5円と50円硬貨の中心に穴があけられています。

普段は気にする事のない穴ですが、一時気になってしまうと調べずにはいられません。
そもそも、なぜ5円と50円なのか?なぜ穴あき硬貨として、この2種類が選ばれたのか?

という事で今回は5円と50円硬貨にあけられた穴の存在理由についてを調査し、その結果をまとめてみました。

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5円玉に穴が開いている理由

「昔の五円玉(五円黄銅貨)」 -Wikipediaより-

元々発行していた5円玉、実は穴があいていませんでした。

穴があけられた5円玉が発行され始めたのは、昭和24年(1949年)。
この当時は第二次世界大戦が終わってまだ間もない頃ですね。

何ら利益を生まない戦争の為に生産された武器、食料、兵士給与、修理に伴う莫大な支出。
更に戦争で敗北した日本にのしかかる、相手国への戦争で生じた損害の賠償。

以上の事が原因で、日本は物資不足による急激な物価上昇(インフレーション)が発生しました。

勘が鋭い人であれば、もうお気づきかとおもいますが5円玉に穴が開いている大きな理由は「戦後の物資不足で原材料を節約する必要があったから」です。

「昔の一円玉(一円黄銅貨)」 -Wikipediaより-

また、この当時に発行されていた1円玉と大きさや見た目が酷似していた事から、5円玉の穴は「視覚障がい者でも容易に判別できるようあけた」という理由もあります。

ちなみに、現在は硬貨である10円、50円、100円、500円は当時紙幣しか存在していません。
この状況から「原材料の節約」と「容易な識別」の条件をクリアするには、比較的大きめな硬貨である5円玉が適していたそうです。

50円玉に穴が開いている理由

50円玉が発行され始めたのは昭和30年(1955年)。

この当時に発行された50円玉に穴はあいていませんでした。

「昔の五十円玉(五十円ニッケル貨)」 -Wikipediaより-

しかし、穴が無い事によってとある問題が発生。

それは、100円玉と酷似していて紛らわしいという問題です。
当時発行されている100円玉と50円玉は、共に色が白く、大きさもほぼ同じ。おまけに硬貨の側面はギザギザしていました。

「昔の百円玉(鳳凰百円銀貨)」 -Wikipediaより-

視覚障がい者には識別が難しく、健常者であっても紛らわしい出来栄え。

そんな100円と50円が似ている問題を解決すべく、50円の側面からギザギザが除かれ、穴の開いたデザインに変更。
昭和34年(1954年)より、新たなデザインの50円玉が発行されたのです。
(昭和42年(1967年)より、ギザギザは復活しています。)

5円・50円の穴には偽造防止目的もあるらしい

調べてみたところ、5円と50円の穴には偽造防止目的もあるそうで、確かに硬貨ともなれば穴があるだけで偽造の難易度は上がります。

しかし、5円や50円は少額硬貨である為、その穴に目立った偽造防止策は施されていません。(そもそも5円と50円を偽造はコストがかさむ上、割に合わないですよね。)

要するに、現在も施されている5円や50円の穴は偽造防止目的というより、視覚障がい者が手触りでしっかりと硬貨を判別できる事を主な目的としているようです。

まとめ

5円玉の穴の主な目的は、物資不足が続く戦後日本で少しでも資源を節約する為と、1円玉と判別しやすくする為の施し。
50円玉の穴の主な目的は、当時発行された100円玉と大きさや色が酷似していた事から、判別しやすいようにとデザインを変更した結果です。

現在では偽造目的もあるそうですが、その主な目的は視覚障がい者でも硬貨の識別を用意にする為だそうです。

以上の理由があり、6種類の硬貨のうち、5円と50円の2種類のみに穴があけられたという事です。

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