選挙で投票数が同じ候補者がいた場合はどうなるの?
選挙と言えば、組織や団体の代表者またはその一員になる事を希望する人が、本当にその地位に相応しいか否か人々の意見を集約して決定する際に用いる方式であり、簡単に言ってしまえば多数決です。
選挙方式は学級委員長の選出から、国の代表となる首長や議員の選出まで様々な場面で用いられいます。
ただ、この選挙を偶数人で行う場合、稀ではありますが候補者の得票数が「同票」となる可能性がでてきますよね。
学校などの小さな組織内で行うものであれば候補者同士の得票数が同じでも再投票を行う事ができるかもしれませんが、これが国会議員や知事などを決める大規模な選挙の場合はどうなるのでしょうか?
そこで今回は議員などを決める選挙で投票数が同じ候補者がいた場合、その後どのようにして決めるのかを調査し、まとめてみました。
選挙で投票数が同じ候補者がいた場合
国会議員や地方公共団体の議会の議員または首長といった公職における選挙にはしっかりとルールが決められており、そのルールを「公職選挙法」といいます。
今回の疑問である「投票数が同じ候補者がいた場合、どうなるのか?」は上記で説明した公職選挙法の第九十五の二項に定められたルールに則って候補者の当選を決定するそうです。
この公職選挙法の第九十五の二項というのが「当選者を定めるにあたり、得票数が同じである場合は選挙会において選挙長がくじで決める」というもの。
そう、候補者同士の得票数が同じになった場合は「くじ引きで決める」という事です。
くじ引きの方法は定められておらず、多くは神社のおみくじなどで用いられる棒の入った筒を振り、引いた棒に記載された数字によって当選・落選が決めているようですが、中には福引きで使うガラポンを使ったくじ引きや、「当選」と書かれた紙が入った封筒を引いたものが当選するというくじ引きをおこなった事例もあるようです。
国または地域の代表ともなる人をくじ引きで決めるのか?と思えてしまいますが、法律上ではそのように定められており、実際に得票数が同じになりくじ引きで当選者が決定した選挙戦も実際にあります。
神奈川県相模原市議選の例
2019年4月7日、神奈川県相模原市議選の中央区選挙区にて、定数17席のうちの最後の1議席を巡る投開票にて2人の候補者が同票数となった実例があります。
この珍しい事態に対し、区選挙管理委員会は上記で説明した「公職選挙法」に基づき、最後の1議席を2人のうちどちらに座らせるかくじ引きで決定する事にしました。
そして2019年4月8日、投票数3158票で並んだ2人の候補者、今宮祐貴氏と松浦千鶴氏は議席を巡るくじ引きを実施したのです。
結果、当たりくじを引いたのは今宮祐貴氏。落選した松浦千鶴氏は「まさかくじ引きになるとは想定していなかった」と涙をぬぐったとの事。
島根県飯南町議会議員選挙の例
2017年7月23日、島根県飯南町議会議員選挙にて3人の投票数が同数となったとても珍しい実例もあります。
残った議席は2席であり、例外なくこの選挙においても当選者を決めるくじ引きが実施されています。
260票で並んだ安倍たかし氏とかど信一郎氏、そして難波俊司氏の3名でくじ引きし、結果として安倍氏とかど氏が当選。
落選した難波氏は「仕方がない。当選した2人には一生懸命やってもらいたい」と残したとの事。
くじ引きで落選した人には特典がある
参議院の選挙区選出議員選、または地方議会の議員選挙については、当選者が何らかの理由で辞職、または死亡して議席に欠員が出た場合、それが選挙日から3ヶ月以内であった場合は当選者に次ぐ投票数を獲得した落選者が繰り上げで当選となります。
ただし、くじ引きにて落選した人の場合は3ヶ月以内という制限がなく、選挙日から当選者の任期が終了する間に欠員がでた場合、繰り上げ当選となります。
これは原則として繰り上げ当選が認められていない衆議院の小選挙区選出議員選や、地方自治体の首長選でも同じルールが適用されています。
欠員が出なかった場合は他の落選者と同等の扱いとなりますが、この優遇処置で繰り上げ当選した実例はいくつか存在しています。
望月宣治氏の繰り上げ当選例
2007年4月22日、長野県松本市議会議員選・四賀選挙区にて望月宣治氏と両角友成氏の得票数は1783票で並び、当選者をくじ引きで決定しました。
結果は望月氏の落選、両角氏の当選となったのですが、2011年4月に両角氏が県議選に立候補した為、残り任期20日の時点で市議会議員を自動失職し望月氏の繰り上げ当選が確定したのです。
要するに、繰り上げ当選した望月氏の任期はが僅か20日しかない議員になったという事になります。
まとめ
選挙で同票数になった場合、再投票とか面接とかで決めるのかなと思っていましたが、まさかのくじ引きという運任せな決め方でしたね。
くじ引きで当選者を決めたケースは多くありませんが、人口が少ない地方自治体の議会選挙ではまれにみられる事象だそうです。
運任せで落選した立候補者には、申し訳ない程度に「3ヶ月以内に欠員が出た場合は繰り上げ当選」という公職選挙法のルールを外れ、「当選者の任期満了までに欠員が出た場合は繰り上げ当選」となる優遇処置を受けられますが、それを除けば他の落選者となんら変わりない扱いというのが残念なところですね。
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