海外で出産した場合、生まれた子供の国籍はどうなる?
日本国籍を取得している人は、日本国内にて日本人夫婦またはどちらかが日本人の夫婦の間で生まれた人がほとんどかと思います。
ただ、地球上に存在する人間は非常に多く、中には「両親は日本人だけど海外赴任の関係などで生まれた国はアメリカ」なんて人がいてもおかしくありません。
上記で上げた例えのように、両親または両親のどちらかが日本人ではあるが出産した場所は日本国内ではないという場合、生まれてきた子供の国籍はどうなってしまうのでしょうか?
そこで今回は、海外で出産した場合の子供の国籍についてを調査し、その結果をまとめてみました。
国籍の取得について
「国籍」とは、特定の領域内に住む全員を一つの構成員(国民)としてまとめ、その構成員の存在によって成り立つ国家、いわゆる「国民国家」の概念に対応するために生まれたものであり、この国籍がある事でその国家の「構成員(国民)」になることができます。
国家が存在するには「領土」と「国民」が必要不可欠となるため、国籍という概念はどこの国にも存在するものです。
しかし、その者をどのようにして国家の国民として認めるかは国によって異なる為、国籍を取得する際の形式にも国によって違いがあります。
そして、その国籍を取得する際の形式は出生地の国が「血統主義」か「出生地主義」によって決まります。
血統主義とは、血縁関係によって国籍を取得する形式を言い、国によって親のどちらかの国籍が生まれた子供の国籍となる「父母両血統主義」、父の国籍が生まれた子供の国籍となる「父系優先血統主義」に分かれます。
ちなみに日本では父母両血統主義の形式が採用されています。
もう一方の出生地主義は、親がどこの国籍であろうと出生地の国籍が与えられる形式で、アメリカ合衆国では出生地主義が採用されています。
以上の事から、なんとなく感づいた人もいるかと思いますが、海外で子供を出産した場合「親の所属する国」「子供が生まれた国」が血統主義なのか出生地主義なのがで生まれた子供の戸籍取得形式が異なります。
出生地が「出生地主義」親の所属する国が「血統主義」
子供を出産した場所が出生地主義のアメリカ、両親の所属する国が血統主義である「日本」であった場合、出産した子供はアメリカと日本の「多重国籍」となる。
これは簡単な話、血統主義である日本国籍をもった両親はどこで子供を産んでも、その子供には日本の国籍を取得することになります。
しかし、生まれた場所が出生地主義であるアメリカなのであれば、出産と同時に子供に米国籍もつく為、結果として日本人夫婦がアメリカで産んだ子供には出生地主義と血統主義の両方が適用され、多重国籍になってしまうのです。
多重国籍について
多重国籍とは、二つ以上の国籍を所持している状態を言い、原則として国籍を二つ以上所持することはできないが、国によって多重国籍を認めているか否かが異なる。
ちなみに、日本では多重国籍が認められていません。
その為、出生地主義の国で出産した事によって子供が多重国籍となった場合、3ヶ月以内に出生届の提出とともに日本国籍を留保する旨を海外にあるの日本の大使館・領事館または市区町村役場へ申告する必要があります。(出生届の用紙に日本国籍を留保する旨の記載をする。)
この日本国籍を留保する旨を期限内に申告できなかった場合、または記載し忘れた場合は日本国籍を失う事になるので注意です。
ただ、日本国籍は20歳未満かつ日本に住所を有する場合に、法務大臣へ届け出ることで再発行できるようです。
生まれた子供の日本国籍を留保した場合、その子供は22歳になるまでにどちらの国籍を取得するか選択する事が可能になります。
この選択も逃してしまうと、日本国籍を失う上に再発行も不可となるため、その場合は国籍の取得を申請し、国家に新たな国籍を認めてもらう「帰化」をする必要があります。
出生地が「血統主義」親の所属する国が「出生地主義」
子供を出産した場所が血統主義の日本、両親の所属する国が出生地主義である「アメリカ」であった場合、出産した子供はアメリカと日本の国籍を取得できない「無国籍」となります。
これはちょっと難しく、日本の国籍は「父母が日本国民であるとき」「出産前に死亡した父が死亡時に日本国民であったとき」「父母が不明または国籍を有していないとき」のいずれかに該当する場合にのみ取得が認められています。
その為、アメリカ人夫婦が血統主義の日本で子供を産んでも日本国籍とはなりませんし、アメリカは出生地主義なのでアメリカ国籍を取得する事もできない。
ただし、日本の場合は無国籍の状態を防止するため、特例として「出生地主義」を採用する事ができるので、アメリカ人の夫婦が日本で子供を産んだ場合、その子供は日本国籍となる。
出生地と親の所属する国が「出生地主義」または「血統主義」
血統主義である日本国民の夫婦が、日本同様に血統主義であるドイツで子供を出産した場合、当たり前だが生まれた子供は「日本国籍」の取得が認められます。
日本で出産した際と同様、出生届を外国にある日本大使館・領事館に提出すれば出産した子供の国籍は「日本」となります。
一方、出生地主義であるアメリカ国民の夫婦が、アメリカ同様に出生地主義であるカナダで子供を出産した場合、その子供は「カナダ国籍」となります。
まとめ
国籍の取得形式には大きく分けて「出生地主義」と「血統主義」があり、子供を産んだ国の形式と子供を産んだ両親が所属する国の形式の組み合わせによって異なるようですね。
組み合わせによっては、多重国籍になったり無国籍になったり他国籍になったりと様々で、その後どのような手続きを行えば国籍を取得できるかは国によって色々と方法があるようです。
ちなみに、両親が日本人だけど生まれた場所が出生地主義のアメリカで、更にそのままアメリカ国籍を取得した場合、遺伝子や顔などは日本人ですが、事実上はアメリカ人です。
その為、日本国籍を持つ人と結婚するときは国際結婚として扱われるみたいですよ。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません