「銀行」の名前の由来は?なぜ「金行」ではないのか?

歴史

お金を預ける、お金を貸してもらう、お金を振り込んでもらうといった、お金に関する取引に関しては必ずといっていいほど利用する「銀行」。

皆さんもご存知の通り、銀行は「金」のやり取りに関する業務を主としていますが、なぜ名前には「金」ではなく「銀」が使われているのでしょうか。

どちらかと言えば「金行」の方がピンとくるんだけど…と思いましたが、きっとなにか理由があるはずです。

そこで今回は、銀行の名前の由来について調査し、その結果をまとめてみました。

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銀行の名前の由来について

銀行という名前の由来は、明治5年(1872年)に交付された「国立銀行条例」の見本となったアメリカの「ナショナル・バンク制度」の「バンク」を翻訳して「銀行」としたのが始まり。

バンクの翻訳には「金司」「金舗」などの案があり、その中には当然「金行」も存在していたそうです。

しかし、当時取り扱われていた貨幣制度は銀本位制であった為、金よりも銀のほうが圧倒的に流通量が多かったのです。

銀本位制とは、簡単に言えば貨幣の基準を銀とする制度の事で、例えば銀30グラムの価値を1円と決めれば、その銀が潰れていようが山から掘り当てたものであろうと30グラムあれば1円の価値があるという事になる。

この制度が国内の基準となれば、どの商品も銀○○グラム分といった銀を基準とした価値がつけらるようになります。

以上の事から分かる通り、当時の日本の貨幣となるものは「銀(銀貨)」であったため、その当時に貨幣(銀)を取り扱う店=銀行という言葉が誕生したと言われています。

もちろん、当時は銀貨だけではなく金貨も存在していた為、金にも貨幣としての価値はあったのですが、「”ぎんこう”の方が発音しやすいから!」という理由で銀行にしたという説も存在しています。

ちなみに銀行の名前の由来となった「バンク」は、北イタリアで生まれた銀行の起原ともいえる「両替商(バンカス)」がお金を両替する為に利用していた机「banco」(机やベンチを意味する)に由来しています。

じゃあ「銀行」の「行」ってなに?

「行」というのは、中国語で「店」や「市場」などを意味するもので、それを日本が借用したいわゆる漢語です。

そのまま日本語を使って「銀店」や「銀舗」にするなんて案もあったらしいですが、発音のしやすさを考えギンコウにしたなんて説があります。

「銀行」の名付け親は誰?

「バンク」を翻訳したのは当時の学識者である事は間違いないのですが、誰が銀行と名付けたのか?という点は明確になっていない。

多くの学識者が協議して決めたというのが最も有力であり、その中には福沢諭吉や渋沢栄一がいたと言われています。

その為、個人が決めたのではなく、多くの人の意見をまとめてできた言葉というのが有力な説と考えられます。

しかし、一般的には日本で初めて開業した銀行「第一国立銀行」の初代頭取「渋沢栄一」が銀行の名付け親とされているようです。

まとめ

銀行という名前は、当時の貨幣基準である銀(銀貨)を取り扱う店(行)というのが由来になっているようですね。

その為、もし、貨幣基準が銀ではなく、金であった場合は「金行」、銅であった場合は「銅行」という名前が付けられていたかもしれせん。

ちなみに、当時の「銀行」という言葉は業者のみが使う専門用語のようなもので、一般的にはそのまま「バンク」や「両替商」と呼ばれていました。

しかし、数年後には第一国立銀行を始め、日本国内に「銀行」と名の付く多くの会社が開業し、そこから一般的にも銀行という言葉が流通したと言われています。

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