「敗北」という単語には「北」が使われている理由は。

歴史

勝負の勝ち負けを指す際に用いられる単語「勝利」と「敗北」。

勝ちを表す「勝利」という単語には、”勝”という字に「良い」や「順調」といったポジティブな意味を持つ”利”が使われており、なんとなく意味は伝わる。

一方で勝利の対義語である「敗北」という単語はどうでしょうか。

「負け」や「しくじる」といったネガティブな意味を持つ「敗」という字が使われているまでは分かりますが、「北」ってどういう事でしょうか?

そこで今回は「敗北」という単語に、なぜ「北」という文字が使われているのかを調査し、その結果をまとめてみました。

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「北」の意味や語源について

普段、「北」という字は方位を指す際に用いられている為、北とは?という質問に対し、「方位の事」と考えるのが一般的と言えるでしょう。

もちろん、その意味でも正解ではありますが、実は「北」という字には方位以外にも別の意味が存在している事をご存知でしょうか。

まずは、下記の絵を見て下さい。

絵が下手で申し訳ないのですが、これは「北」という感じの成り立ちを表す画像であり、見てわかる通り、「北」という漢字は二人の人間が背を向けあっている様子を表したものであり、「そむく」や「反対」といった意味を持っています。

腹の反対に位置する「背」という漢字も、もともとは「北」という字で示されており、その語、「肉」の字の承継である「月(にくづき)」がくっ付き「背」という字になったと言われています。

東西南北に使われている北も、諸説ありますが、漢字の生まれである中国では昔、権力を持つものが座る玉座などが南向きに作られており(まぁ多分、太陽の日差しが差し込んでくるから威厳があるように見せる事ができるのかな)、その権力者の反対側という意味で「北」が使われるようになったと言われいるようです。

他にも、「太陽に背く」などがあるらしいが、実際なにが正しいかは定かではない。

その後、北という字は方位を指す際に多用された為に、もともとの意味が薄れていったようですが、本来は「背」という意味になります。

敗北の「北」が意味する事とは

上記で説明した「北」の意味や語源についてを見ていただければ、もうお分かり頂けたかとは思いますが、敗北の「北」は「相手に背を向ける」という意味が込められています。

イメージしてみて下さい、棒立ちしている人に対して背中を向けて項垂れる人のさまを……その姿はまさに負けです。

ちなみに、戦いにおける「北」という漢字には「逃げる」といった意味もあり、これに「敗」という字をつなげれば「敗れて逃げる」という意味になります。

南や東、西といった北以外の漢字を「敗」とつなげると意味が成り立たなくなりますので、「敗北」という文字には「北」という文字がつかわれており、この際の「北」に方位の意味はありません。

まとめ

一般的には、方位を指す言葉として使われている「北」ですが、この漢字は人と人とが背を向けているさまを表した感じであり、「そむく」や「反対」といった意味をもっています。

もともとは「背」という漢字も「北」と書かれており、その事から、戦いにおける「北」は「背をむける」、すなわち「逃げる」という意味になります。

ようするに敗北というのは「戦いに敗れて逃げる」という事になりますので、敗北には「北」という漢字が使われているようです。

だったら「敗背」でよくね?なぜ北をつかった?といった様々な疑問も浮かびましたが、おそらくそれは時代の問題でしょう。(敗北というのがいつから使われた単語かわからなかった為、調べる術がなかったです…)

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