田舎に移住したいなら、田舎に近い都会に移住した方がいいよ

美馬の日常

始めて就職した会社から「勉強の為に東京本社で3年ほど働いて欲しい」と言われた事をきっかけに私は上京しました。

それから5年後、人の多さや雑音、通勤ラッシュなどなどの理由から大都会東京に嫌気がさした私は、自然の多い地元北海道の田舎に移住したいという気持ちが抑えられず、北海道へと移住しました。

会社は「もう少しで北海道に異動させる」なんて言っていましたが、この言葉を鵜呑みにしたら二度と北海道には帰れないと思ったので辞めました。元々諸事情で辞めようと思っていた会社だったので決断は早かったです。

そして、希望通り自然豊かで静かな北海道の田舎に移住できた訳ですが、そこには様々な障害が待ち受けていたのです。

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都会人が田舎に移住すると辛い思いをするかも

ここ近年、田舎のほのぼのとした風情や静けさ、人の少なさに魅了され、田舎への移住願望を強める都会人は多いですよね。

ただ、田舎のメリットは所詮「静か」「自然豊か」「人が少ない」程度のもので、実際に田舎へ移住して理想の「ほのぼのスローライフ」を実現できる人はそう多くありません。

私も、田舎に移住して「失敗したな」と思ってしまった類の人間です。

正直、私は田舎出身の人間なので、Uターンという形で田舎に移住しても上手く付き合っていけるだろうと油断していました。

確かに私は生まれてから上京するまで田舎で生活していたクチです。しかし、「社会人として田舎に住む」のは初めてだったんです。この事を前提に考えず田舎に移住してしまった事が移住失敗の大きな原因なのかなと思っています。

そう思ったのは、主に以下の理由が挙げられます。

田舎にはやりたい仕事がまるでない

田舎には仕事がないと言われていますが、実は結構あります。ただ、今まで都会にいた人が「やりたい」と思える仕事は壊滅的かもしれません。

これは別に職種がどうのこうのって話ではありません。待遇の話です。

例えば、東京の企業では月収20万円以上、年間休日120日以上(土日祝日休み)なんて待遇が当たり前かと思います。しかし、田舎の企業はここが大きく異なります。

私が田舎に移住した時、ハローワークで見た求人票に記載されている企業の待遇の多くは、ざっと以下のような感じです。

給与  :150,000円~190,000円
休日  :日 他
年間休日:80日
必要資格:普通運転免許証

田舎の企業は都会と比べて給与が少ないというのは知っていましたが、ここまでとは思わなかったです。中には「給与13万円」なんて求人票がありました。

手取りにすると15万円にもとどかないなんていうのは、田舎の企業じゃ当たり前の待遇なのです。

そして何より休みが少ない。都会だと「土日祝日休み」なんて仕事が沢山ありますが、田舎だと稀な待遇です。私が知る限りでは、土日祝日休めるのは「薬剤師」か「市役所職員」くらいなものでした。

これまで田舎で働いてきた人からすれば当たり前かもしれません。しかし、社会人として初めて田舎に移住してきた私にとっては、どうしても「働きたい」とは思えなかったです。

田舎はどこへ行くにも車。維持費の負担もある。

学生時代、買い物などは親任せ。友人との遊びも基本家。遠出する予定などはほとんどありませんでした。

しかし、社会人になって独り立ちしてからは「親任せ」なんて言っていられません。

都会に住んでいた頃は、徒歩圏内にコンビニやスーパーなどが沢山あったので楽でした。遠くへ行くにしても、基本的には会社から支給される通勤手当で購入した定期券の有効区間内が多かったので、移動にお金はかかりません。

これが田舎だと、住む場所にもよりますが大抵の場合は車移動です。都会のように徒歩でコンビニやスーパーには行けません。会社の通勤手当も「自宅から会社までの通勤にかかるガソリン代」が支給されるのみなので、プライベートでの車移動は自腹です。都会のように「定期券が使えるので、通勤経路内ならプライベートでの移動もタダ」という訳にはいかないのです。

その為、田舎での生活費には「ガソリン代」が伸し掛かります。ガソリン代だけでなく維持費もそうですね。車検料金、車税、オイル交換代などなどです。

この負担は給料が低い田舎では、かなり重たい負担です。

私は「車移動」をそこまで苦だと思った事はありません。ただ、この車の維持費による負担は辛かったのをよく覚えています。

田舎の家賃がそこまで安くない

田舎のアパート・マンションは都会に比べて格安。なんて言われていますけど、実はそうでもありません。

確かに、都会の賃貸と比較すれば田舎の賃貸は家賃が安いです。しかし、「格安」ってほど安くはないです。メディアなどで紹介されている「家賃1万円の古民家」なんていうのは稀なパターンです。
※むしろ、賃貸の数が多い都会の方こそ、格安賃貸は多いと思います。

私の住んでいた田舎だと、1Kで3万円です。駐車場代込みなので都会の人からすれば安いでしょうね。ただ、それは都会基準の給与を貰っている事を前提に考えていませんか?

先述した田舎の給与問題を前提に考えると、3万円の家賃というのは、そこまで安くないというのが分かると思います。

田舎が好きだから、田舎に近い都会に移住した。

社会人としては初めてだった田舎での生活を通し、私は「理想と現実の差」をこれでもかと言うくらい認識させられました。

「のほほんとしたスローライフ」はそこになく、「都会での生活の方が充実していた」と思いたくない事を思ってしまう事もしばしば。正直、田舎への移住は失敗でした。

しかし、それでも田舎の自然豊かな風情や静けさは私にとっての癒しの一つで、捨てたくはない居場所だったんです。

そこで私が考えたのは、「田舎に近い、都会への移住」です。要は引っ越しですね。

引っ越し先は「札幌市」。私が住んでいた田舎からは2時間ほどの距離で、そこそこな近場です。この引っ越しに不安は感じていましたが、今では移住は正解だったと思えています。

給料は、東京で働いていた頃と大差変わりない企業に就職。休日も土日祝日、年間で120日以上はあります。私はどんな仕事もなるべくやりたくないタイプの人間なので、休みが多いのはやはりありがたいです。

ただ、車移動によるデメリットは完全解消とはいきませんでした。札幌とは言え、東京ほど交通機関は発達していないので、「電車でどこでも行ける」という事はありません。買い物とかはコンビニ以外は基本車での移動となりますので、当然ながら維持費の負担が伸し掛かります。

家賃は田舎に移住した時に住んでいた賃貸より高めの5万円(駐車場代込み)です。探せばもっと安い賃貸が札幌にはゴロゴロしていますが、通勤時間などを考えると、この家賃のアパートが最安値でした。

そして何より、何時でも田舎へ行けるというのは田舎に近い都会に移住する最大のメリットです。休みの日にでもふらっと田舎へ行けますからね。(ちなみに、私が好き好きいっている当記事の田舎は、私の地元を指しています。)

まとめ

私は、東京での騒がしい日常に嫌気がさして、田舎へ移住しました。

田舎に住めば、静かで自然に囲まれたほのぼのスローライフが送れると思ったからです。

しかし、現実はそう甘くありません。仕事の休みが少なく給料も安い。この時点で「ほのぼのスローライフ」は無理です。給料が安いうえに、車の維持費や、意外と高い家賃などが伸し掛かりますので、ちょっとした贅沢も我慢です。

田舎に住みながらほのぼのスローライフが無理なら、田舎に近い都会に引っ越そう。都会なら企業が多いし、自分の満足できる給与、休みが頂ける企業に就職できる可能性も高まる。

そう考え、私は北海道の大都会「札幌」へと移住し、仕事が休みの日は田舎に帰ってほのぼのスローライフっぽい事をしようと思いました。

田舎に移住して理想の生活を手に入れる事は可能ですが、可能性は極めて低いと言ってもいいでしょう。であれば、私は田舎に移住するのではなく、田舎に近い都会に移住する事を強くオススメします。

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