電話で「もしもし」って言うのはなぜ?その意味や由来はなに?
皆さんが電話に出た時、またはかけた時に相手へかける第一声は何ですか?
私の場合は「お世話になっております。わたくし………」嘘です。(仕事でしか電話かける機会がないので……)
プライベートにおいて電話する時は、相手にまず「もしもし…」だと思います。電話におけるルーティンみたいなものですよね。
けど、よくよく考えたら、この「もしもし」ってどういう意味なんでしょうか?
そこで今回は、この「もしもし」の意味や、使われるようになった由来についてを調査し、その結果をまとめてみました。
「もしもし」の意味について
多くの人が電話の第一声として使っているであろう「もしもし」ですが、この「もし」というのは「これから話しますよ」という意味です。
時を遡り、時代は江戸時代。この当時の人達は誰かに話をする際に「申し(もうし)」という言葉を使っていました。これは、現代の「もし」と同様に「これから話しますよ」という意味を持ちます。
「申し!(話ます!)」と言えば、「申せよ(話してみよ!)」といった感じですかね。
要するに、「もしもし」の語源は江戸時代に使われていた「申し」であり、これを2回繰り返して「もしもし」となったようです。
なぜ「もしもし」なのか?その由来
先述した通り、電話の第一声として用いられる「もしもし」は、今から話しますよを意味する「申し」が語源となっています。
この「申し」を2回繰り返して「申し、申し」となり、現代の「もしもし」になったという事ですね。(諸説あるようですが……)
では、この「もしもし」という言葉。どのような経緯で電話に使われる言葉となったのでしょうか?その由来について迫っていきたいと思います。
最初は「もしもし」ではなく「おいおい」
日本で初めて電話が使われるようになったのは1890年12月16日。東京・横浜で電話サービスが開始されました。
今では一般にも電話が普及していますが、その当時、電話は特別な存在でした。その為、電話を持てたのは、特別なステータスを持っていた人だけです。
要は、地位の高い人ですね。成功した実業家とか、高級官僚(地位の高い国家公務員の事)とかです。
地位が高いというだけあってか、高圧的な人も多く、相手を呼びかけるときに「おい」という言葉を多用していたそうです。(現代でも同じ風潮がありますよね)
それは電話での呼びかけも同様でした。ただ、その当時の電話は今ほどクリアな音声ではなく、雑音などが混じって聞こえにくいものでした。
その為、その当時の人たちは電話で「おい!聞こえるか?」と確認する目的で「おい」を2回繰り返して「おいおい」と呼びかけていたそうです。
諸説ありますが、もともとは電話が聞こえにくかった為に「2回繰り返して相手に確認する」という行為が、今の「もしもし」に繋がったみたいですね。
ただ、この当時はまだ「もしもし」という言葉が使われていません。次は、どのようにして「おいおい」が「もしもし」になったのか、その理由について迫っていきます。
始まりは電話交換手が使っていた「申し上げます」
予備知識として、少しだけ電話が相手に繋がる仕組みを解説します。
まず、AさんがBさんに電話する際、Aさんが発信した通信は直接Bさんへ届く訳ではありません。必ず一度、交換局または無線基地局と呼ばれる施設に繋がります。
この施設で、Aさんがかけた電話番号を元に、Bさんの電話へと繋がる回線につないであげて、はじめてAさんとBさんの通信が成立するのです。
このAさんの通信をBさんの回線に繋いであげるという工程、今は自動ですが、昔は人の手で行われていました。この業務に就く人を「電話交換手」と呼びます。
分かりずらいという方は、会社の受付嬢さんをイメージして下さい。AさんがB会社の部長さんに連絡する時、その間で受付嬢さんが中継します。
1.Aさん 「B部長お願いします。」
2.受付嬢さん 「B部長ですね、少々お待ちください」
3.受付嬢さん 「B部長、Aさんからお電話です」
4,B部長 「お待たせしました、B部長です」
という流れです。昔の電話では、全てにおいてこのシステムが採用されていたという事です。
この電話交換手が、繋ぐ相手に対して連絡をする際(上記でいう3の工程です)に、失礼とならぬよう第一声を「申し上げます、申し上げます」としていました。
これが省略されて「もしもし」という言葉に繋がったのではないかと言われています。
警察官が「もしもし」を使うようになり、一般に広まる。
時を遡り、時代は大正時代。この当時もまだ一般的には電話の第一声は「おいおい」が主流でした。
警察官ですら、人への呼びかけに対し「おいおい」を使っており、少し高圧的な態度が目立っていました。
このような事が続けば、警察のイメージダウンは必然……と思ったのかどうかは知りませんが、この警察官の傲慢な態度を改めようと、当時の警視総監「安楽金道(あんらくかねみち)」は「民衆に対してもっと丁寧にしろよ!」と部下たちに指示したそうです。
その甲斐あってか、警察官たちは「おいおい」という高圧的な言葉遣いを改め、電話の第一声を「申し、申し」としたそうです。
これが省略されて「もしもし」となり、警察官が使っていたという事もあって一般にもその言葉が浸透しました。
「もしもし」と2回繰り返すのは、妖怪でない事を証明する為説
先述した通り、「もしもし」の「もし」は、江戸時代から使われていた「今から話しますよ」を意味する「申し」が語源となっています。
そして、それを2回繰り返して「もしもし」としている理由は、昔の電話は雑音が多く、ちゃんと相手に聞こえているかを確認する目的で2回繰り返していたというのが有力説です。
しかし、実は江戸時代から人を呼びかける際は「申し、申し」と2回繰り返していたのではないかという説もありました。
時は江戸時代。この当時、人を真似して「申し」と人に尋ねる妖怪がおり、その呼びかけに応じると襲われてしまうという言い伝えがありました。
何故かはわかりませんが、この妖怪は絶対に「申し」と一声で人を呼び止めていたそうです。
江戸時代の人々は、日本で起こる病気や自然災害などの原因が「妖怪の仕業である」と信じて疑わない文化がありました。この事から、「申し」と一声で人に呼びかけると、妖怪だと思われて無視されるという風潮があったとかなんとか。
その為、「自分は妖怪ではないから安心して」という意味を込めて、妖怪にはできない「申し、申し」という呼びかけをしていたそうです。
これが受け継がれた結果、「もしもし」となった……なんて説もあります。
まとめ
我々が普段電話の第一声として使う「もしもし」
これは「今から話しますよ」を意味する「申し」が語源です。そして、電話でこの「申し」が使われるようになったのは、まだ電話交換が手動で行われていた時代に電話交換手が使っていた「申し上げます、申し上げます」が始まりです。
その後、警察官が「申し申し」を電話で使う用になった事で一般的に普及し、今の「もしもし」になったそうです。
では、なぜ「もし」を2回繰り返して「もしもし」なのか?これは、昔の電話の雑音が酷かった為に、相手にちゃんと聞こえているかを念押しする目的で「申し上げます」と2回言っていたという説が有力です。
ただ、一説によれば、妖怪は人を呼びかける際、必ず一声で「申し」と呼びかける。その為、普通の人たちは自身が妖怪でない事を相手に知らせる為、「申し、申し」と2回繰り返していた。なんて説もあります。
普段何気なく使っていた「もしもし」。ただ、その実態に迫ると、意外にも奥が深いものでした。
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