突然「キーン」といった音が響く耳鳴りの原因ってなに?
実際には何も音が鳴っていないはずなのに、「キーン」と音が聞こえるように感じる「耳鳴り」を体験した事がある人は多いのではないでしょうか?
耳鳴りの音として代表的なのは「キーン」という金属音、または電子音のようなものなのですが、症状によっては「ピー」や「ブーン」「ゴー」という音も聞こえるそうです。
どこからも音が発生していないのにも関わらず、耳の中に音が響き渡る事から「幽霊が通り過ぎた音」なんていうオカルトな噂もあるようですが、幽霊などという科学的根拠もないものを私は信じません。
ということで今回は、耳鳴りの原因についてを調査し、その結果をまとめてみました。
耳鳴りの症状について
耳鳴りの症状は、基本的に何か音が聞こえるように感じる現象が短時間、または長時間に渡って起こるものです。
ただ、何が原因でそういった音が聞こえているかは耳鳴りのタイプによって異なり、大きく分けると「自覚的耳鳴」「他覚的耳鳴」の2タイプに分類できます。
では、一体この2タイプの耳鳴りはどのようなもので、どういった事が原因で起こる症状なのでしょうか?
自覚的耳鳴(じかくてきじめい)
自覚的耳鳴とは、実際には音が発生している訳ではなく、本人のみにしか聞くことができないタイプの耳鳴りです。
人間が音を感じる過程は、まず音の正体である空気の振動(音波)が外耳道(耳の穴)を通って鼓膜を振動させ、その振動が中耳、内耳へと伝わる。
その後、内耳にて振動は電気信号へと変わり、それが大脳皮質の聴覚をつかさどる部分に伝えられ、音として認識されます。
かなりざっくりと話しましたが、何が言いたいかと言いますと、人間の耳は音の正体である「空気の振動」が鼓膜に伝わらない限り音として認識される事はありません。
その為、空気の振動なしに長時間に渡って聞こえてしまう自覚的耳鳴の原因は、人間が音を感じる過程で出てきた何れかの器官に異常が生じていると考えられるでしょう。
■有毛細胞による障害
有毛細胞とは、簡単に話すと鼓膜から伝えられた空気の振動を電気信号へと変換する役割を持つ細かい毛のような細胞で、この有毛細胞に障害が発生する事が耳鳴りの原因だと想定されています。(明確な原因はわかっていないようで…)
この有毛細胞は、加齢や大きな音を聞き続ける事が原因で壊れてしまい、一度壊れると再生しない細胞です。
脳に音と認識させる為の電気信号を発する細胞ですから、これが壊れてしまうと、それと比例して音は聞き取り難くなってきますよね。
このように有毛細胞によって脳へ伝えられる電気信号が弱まると、脳は足りない音の情報を補おうと自ら「音」を作り出してしまう働きがあるそうです。
有毛細胞の障害によって耳鳴りの音が異なり、高い音が聞き取りにくくなると「キーン」、低い音が聞き取りにくくなると「ブーン」といった音が脳内で生成され、この脳が作り出す音こそが「耳鳴り」のではないかと考えられています。
その為、このような事が原因で起こる耳鳴りは難聴の前触れとも言われていたり……
■ストレスによる神経の活発化
耳鳴りの直接的な原因という訳ではありませんが、人が不快と感じる耳鳴りは「中枢自律神経線維網(ちゅうすうじりつしんけいせんいもう)」の活発化が原因と考えられます。
この中枢自律神経線維網は別名「中枢性自律神経ネットワーク(CAN)」とも言われており、人間が怒りや不安といった不快なストレスを感じるとCANが興奮状態となり、自律神経の中の交感神経を活発化させる働きがある。
交感神経は別名「闘争と逃走の神経」とも呼ばれており、これが活発化する事によってありとあらゆる危険(ストレス)に直ぐ対応できるよう脳を過敏状態にします。
脳がこういった状態になることで、難聴によって足りない音を補おうと脳が作り出した「音」が表面化し、不快な耳鳴りを感じるようになると言われています。
■メニエール病によるもの
メニエール病とは内耳のリンパ液が増えることによって水ぶくれが発生し、聴覚を司る感覚器官「蝸牛(かぎゅう)」や平衡機能を司る「三半規管(さんはんきかん)」などに異常が生じる病気です。
蝸牛には、空気の振動を電気信号に変え、脳に音と認識させる役割がある有毛細胞がある器官であり、ここに水ぶくれが発生した場合、有毛細胞が正確な空気の振動を捉えられなくなり、それに伴って変換される電気信号にも不具合が生じてしまう。
その不具合によって難聴や耳鳴りといった症状が起こるそうです。
ちなみに、リンパ液によって発生した水ぶくれによる障害が蝸牛のみの場合を「蝸牛型メニエール病」と言います。
これが平行感覚を司る内耳の期間に生じた場合、強い目まいといった症状が特徴の「メニエール病」となる。
片耳だけが長期的な耳鳴りを起こしている場合は、このメニエール病が原因であるとも考えられますね。
■生理的な現象によるもの
蝸牛の有毛細胞は自発振動によって常に脳へ電気信号を送り、音を生成しています。
この有毛細胞の自発振動によって生成される音は非常に小さく、生活音などにによって簡単にかき消されている為、普段聞こえてくる事はほとんどありません。
ただし、生活音などの音が一切ない状態、例えば就寝前の静かな部屋などではこの音を聞き取る事ができ、これも耳鳴りの一種として数えられています。
この音を「オイフォン」と呼び、「シーン」や「キーン」といった音が代表的である。
ちなみに、この現象は生理的なものである為、聞こえたとしても健康上の問題はありません。
他覚的耳鳴(たかくてきじめい)
他覚的耳鳴とは、実際に体の内部で音が発生しており、聴診器などを使用すれば他者でも聞き取る事ができる耳鳴りです。
体の内部で他覚的耳鳴となり得る音源を発している器官は数多く存在するのですが、体が健康の状態であればその音が聞こえる事はありません。
しかし、喉や耳周辺の筋肉が痙攣を起こしたり、高血圧といった循環障害など血流に異常が発生した場合は、他覚的耳鳴を感じる場合があります。
他覚的耳鳴は自覚的耳鳴と聞こえる音が異なり、大抵の場合は筋肉が痙攣した際に聞こえる「コツコツ」「トントン」といった音、静脈・動脈に流れる血流の「サー」「ザー」といった音が代表的です。
ちなみに、血流異常が他覚的耳鳴の原因である場合、時に致命的になる場合もあるそうですので、「サー」や「ザー」、更には「ドクンドクン」といった耳鳴りが持続的に続く場合は、耳鼻咽喉科で早期に受診したほうが良いでしょう。
まとめ
耳鳴りの原因と考えられるものは数多く存在しておりますが、自覚的耳鳴に関してはどの原因に関しても「考えられる原因」であり、それが間違いなく原因と明確にはなっていません。
人が感じる耳鳴りのほとんどは自覚的耳鳴である為、原因がはっきり解っていないというのは何とも言えない話です。
一方、他覚的耳鳴に関しては他者からも聞こえる音であり、その原因ははっきりしています。
代表的なものは血流音、痙攣音なのですが、その他にも様々な音が聞こえてくるケースもある為、その原因となり得るものは非常に多いと考えられるでしょう。
どちらも継続的に続く場合は、体に異常が発生している可能性が高いので、耳鳴りにお悩みの方は耳鼻咽喉科にて診察をしてもらうのが良いでしょう。
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